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単行本

播磨以外

『古式土師器の年代学』
編集 森岡秀人・西村歩2006
発行 (財)大阪府文化財センター
  • A4・本文638頁
  • シンポジウム「古式土師器と実年代」の総集編。
  • 項目は以下のとおり。
  • 第1部 古式土師器編年集成(越前・加賀、近江、山城、大和、河内、和泉、紀伊、摂津、丹後、山陰、北部九州)(264頁)
  • 第2部 出現期古墳をめぐる諸問題 10編(182頁)
  • シンポジウム討議録(40頁)
  • 総括(84頁)
  • 各地域遺跡分布図、参考文献、関連資料集(130頁)
  • 内容は、評者も未消化。
  • 弥生、古墳時代を勉強されてる方、編年を勉強されてる方は、間違いなく買い。

(A)


論文


報告書

播磨以外


『東田大塚古墳』
橋本輝彦編2006
発行 (財)桜井市文化財協会
  • A4・本文247、写真図版74頁
  • 奈良県桜井市に所在する東田大塚古墳周辺の発掘調査報告書。
  • 古墳周辺の農道改修事業に伴う調査のため、墳丘の上部には手をつけていない。
  • この調査により、古墳築造前と築造後に位置づけられる多くの土器群が得られた。
  • 調査の本文編に100頁、自然科学分析に25頁、まとめ・考察に110頁を割いている。
  • 自然科学分析は、環境考古学分析(金原正明ほか)、出土石材(奥田尚)。
  • まとめは、墳丘構造について、墳形及び周濠の復元、出土土器の検討と築造時期について、築造手順について。
  • 考察は、纏向古墳群の調査成果と出土土器、纏向遺跡の墳墓について、大型複合口縁壺の検討、纏向遺跡の立地基盤と古地形環境。
  • 考察では、注目される纏向古墳群各古墳の調査成果を、出土土器などの実測図とともにまとめており、有用性が非常に高い。
  • また、纏向古墳群周辺の地質学的成果が、こうした成果と統合されているのが興味深い。
  • 纏向古墳群を知る上で、欠かせない1冊であろう。

(A)


『紫金山古墳の研究−古墳時代前期における対外交渉の考古学的研究−』(課題番号:14310186)
平成14〜16年度科学研究費補助金(基盤研究(B)(2))研究成果報告書
研究代表者 上原真人(京都大学大学院文学研究科教授)
編集 上原真人ほか2003
発行 京都大学大学院文学研究科
  • A4・本文369、写真図版137頁
  • 大阪府茨城市に所在する紫金山古墳の発掘調査報告書。
  • 主体部の調査は1947年に小林行雄氏らによって行われたが、正規報告書がこれまで出ていなかった。
  • これまでは京都大学文学部博物館の図録1993『紫金山古墳と石山古墳』しか詳細な文献がないままで、重要な資料として各論文に紹介されていたが、晴れて正式報告書が刊行された。
  • また、2003年から2004年にかけて測量調査および若干の追加調査も行っている
  • 第2章調査研究の歩みでは、20頁にわたってその歴史が語られている。
  • 興味深いのは調査日誌の全文掲載。
  • 攝津経塚古墳(紫金山古墳)と青松寮前古墳(青松塚古墳)という重要遺跡を同時調査して大変な様子がよくわかる。
  • 寝ずの番の方の枕元に被葬者が現れて、神酒を供えてくれと言われた日、新憲法発布であった。
  • 「調査人員」の方々は、錚々たるメンバー。当時の実測図も掲載。
  • 文部省社会教育局より、大阪府知事宛てに、古墳発見報告を求められている。
  • 副葬品も含めて、事実報告に重点を置いた記述は実直ですばらしく、本報告書が重要な基礎資料となった。

(A)


『八日市地方遺跡1−小松駅東土地区画整理事業に係る埋蔵文化財発掘調査報告書−』
編集 福海貴子ほか2003
発行 小松市教育委員会
  • A4・2分冊・本文686頁、写真図版80頁
  • 縄文時代後晩期から弥生後期まで土器出土が見られる遺跡で、遺構の検出は弥生時代中期にほぼ集中。
  • 平野の遺跡約32,556平米を発掘調査したもの。
  • 「環濠」のほか、木器集積遺構、掘立柱建物跡を検出。
  • 今回は中間報告としての位置づけであり、遺構はほとんど掲載されず埋積浅谷のみ。
  • 最も注目すべきは、その木製品の豊富さ。
  • そして土器の複雑さ。条痕文系と凹線文系。
  • 考察には土器の検討が45頁、管玉製作の検討が25頁。
  • 自然科学的分析として花粉分析、珪藻分析、寄生虫卵分析、動物遺存体、玉材片の産地分析、木製品樹種同定に66頁。
  • シンポジウムで目標人数を達成したため、報告書刊行が可能になったらしい。
  • 第2冊にも期待。

(A)


『久枝遺跡 久枝2遺跡 本郷1遺跡−一般国道196号今治小松道路建設に伴う埋蔵文化財調査報告書 第3集』
編集 柴田昌児2005
発行 財団法人 愛媛県埋蔵文化財調査センター
  • A4・5分冊・本文886頁、写真図版385頁
  • 弥生時代中期から中世後期にいたる複合遺跡の調査報告書。
  • 平野の遺跡約10,000平米を発掘調査したもの。
  • 報告部分は地味だが、とてつもなく真摯に実直に報告していることがよくわかる。
  • たとえば被熱変形土器は、接合した状態の図面を描く。
  • その他に関しても、その都度もっとも良いと思われる方法を考えている。
  • 自然科学分析は植物珪酸体、花粉分析、樹種・種実同定、動物遺存体、被熱変形土器の温度推定(TL法・ESR法)に約110頁。
  • 考察編は銅剣、武器形石器、小形環状石製品、中期弥生土器、中期弥生集落、古墳中期土器、郡衙関連施設、中期後期集落、地図調査に関して140ページ。
  • 特に考察は、柴田氏が約100頁分担当している。
  • 編者の命を削って作られたような、力作。

(A)


『日吉ヶ丘遺跡』
編集 加藤晴彦2005
発行 京都府加悦町教育委員会
  • A4・本文255頁、写真図版159頁
  • 京都府加悦町に所在する日吉ヶ丘遺跡の発掘調査報告書。
  • 弥生時代中期中葉〜後葉の集落と、中期中葉新段階の方形貼石墓・方形周溝墓が主。
  • 方形周溝墓、円形周溝墓、四隅突出墓、方形台状墓、方形貼石墓が複雑にからみあった山陰から北近畿における、貴重な調査例。
  • もう一つ面白いのが、土器が播磨地域とのつながりを持っていながら、独自性を発揮していること。加古川・由良川の道を通した土器型式のつながりは以前から指摘されているが、今回の例はこれまであまり見つかっていなかった中期中葉からのものを含んでおり、その意味でも基礎資料となる。
  • 報告編、科学分析編に加えて、集成編として丹後・北丹波地域及び山陰・山陽地域の墳墓集成が行われており、編者のこの遺跡を歴史的位置付けたいという姿勢がよくわかる。

(A)


『東大阪市所在 瓜生堂遺跡1 近畿日本鉄道奈良線連続立体交差事業に伴う埋蔵文化財調査報告書』
編集 川瀬貴子・秋山浩三2004
発行 財団法人大阪府文化財センター
  • A4・2分冊・本文754頁、写真図版142頁
  • 大阪府東大阪市に所在する瓜生堂遺跡の発掘調査報告書。
  • 弥生時代前期〜中期の集落、後期の流路。平安〜中世の集落。
  • 矢板を用いた、状況的には過酷な調査ながら、さまざまな問題意識をもった報告書。
  • 前期の竪穴住居、礎板をもつ掘立柱や、中期の人骨の残る方形周溝墓とその供献土器、弥生後期の多彩な木製品など珍しく貴重な成果。
  • 10本168頁の考察編、8本87頁の自然科学分析編。「初期農耕集落としての瓜生堂遺跡」「弥生中期大形集落・瓜生堂遺跡の一構成単位」「方形周溝墓研究と近畿弥生社会復原への展望」など。
  • 考察編は、精力的に活動されている秋山浩三氏に負うところが大きい。

(A)


『佃遺跡 本州四国連絡道路建設に伴う埋蔵文化財調査報告書V』
編集 深井明比古ほか1998
発行 兵庫県教育委員会
  • A4・3分冊・本文665頁、写真図版175頁
  • 兵庫県津名郡に所在する佃遺跡の発掘調査報告書。
  • 縄文早期〜晩期の集落。後期が主。
  • 縄文遺跡自体の調査があまり進んでいない現状にあって、この成果は大変貴重。
  • 第4分冊として『佃遺跡のすべて』という8頁のカラーレファレンス版も添付。一般向けに仕上がっている。
  • 自然科学分析には133頁を割き、総括は自然景観、土器編年、石器、墓制、土偶、総合評価に分かれ、56頁ある。
  • 本の装丁は思わず手にとりたくなるデキ。センス抜群。

(A)


『西求女塚古墳発掘調査報告書』
編集 安田滋2004
発行 神戸市教育委員会
  • A4・本文368頁、写真図版139頁
  • 兵庫県神戸市に所在する西求女塚古墳の発掘調査報告書。
  • 古墳時代前期に属する前方後円墳の整備に伴う発掘調査。
  • 1596年の地震によって崩れた竪穴式石室より、鏡が12面、鉄製品、山陰系・畿内系土器が出土。
  • 鏡をはじめとした主な出土品の写真は700線の高精細印刷を行い、ルーペ観察が可能。
  • 土壌、地滑り、石室石材、赤色顔料、土器の胎土、青銅鏡、有機質遺物についての分析や地中レーダー探査に加え、西求女塚鏡群の歴史的意義(岸本直文)、土器からみた西求女塚古墳の年代(柳本照男)といった諸分析に約160頁を割いている。
  • やっと出た、という期待に沿うデキの報告書。

(A)


『風巻神山古墳群 風巻丘陵における古墳の調査』
編集 古川登2003
発行 福井県清水町教育委員会
  • A4・本文143頁、写真図版25頁
  • 福井県清水町に所在する風巻神山古墳群の発掘調査報告書。
  • 古墳時代初頭に位置付けられる1〜4号墳の発掘を行い、鉄刀、神人龍虎画象鏡、碧玉製管玉、櫛などが出土。
  • 調査時の失敗についても報告中に項目を設け、真摯な記述。
  • 開発ではなく自然崩壊に伴う緊急調査及び植林計画に伴う試掘、確認調査。
  • そのため、発掘調査報告が7〜58頁、研究編が59〜132頁と、考察に重きをおいている。
  • 「北陸地方における古墳の出現」(古川登)、「紀元三世紀のシナリオ」(大賀克彦)など、視点が広く刺激的な論文。
  • 値段が高いことだけがネックか。

(A)


『堺市下田町所在 下田遺跡−都市計画道路常盤浜寺線建設に伴う発掘調査報告書−』
編集 西村歩1996
発行 (財)大阪府文化財調査研究センター
  • A4・4分冊・本文792頁、写真図版178頁、付図11点
  • 大阪府堺市に所在する下田遺跡の報告書。
  • 本書での下田遺跡は、銅鐸が出土したことで著名だが、良好な遺物の出土状態も特筆。
  • 弥生時代中期・後期後半〜古墳時代前期・中期の遺構、遺物が主。
  • 最も評価を高めているのは、弥生後期〜古墳前期までの土器編年に関する考察。
  • 有稜高杯の基礎分析と遺構の良好な出土状態・切り合い関係からの精密な検討から行われた様相としての編年、その後の地域編年。
  • 本書刊行後、ひとつの大シンポジウムが行われたほど、反響は大きかった。

(A)